朝
7時前だというのに、想像以上に町は賑やかだった。
そもそも、早朝の町は閑散としているはずだ、という私の思い込みが間違っていた。
普段は絶対に眠っている時間ーーもし起きても秒で二度寝を決する時間ーーなので、町の様子を知らなかった。車は走るし、人々は歩くし、空は想像より随分明るかった。
市電に乗り込んでも知り合いはいなくて、この列車で間に合うのか心配になってくる。
衣装は忘れていないか?自分の気づいていない必要なものは存在しないか?振りを全て忘れたりはしてないか?変更した立ち位置を覚えているか?不安は尽きない。
早起きして日の光を浴びるのは、季節性鬱に効くらしい。毎日これくらい早起きしようか、なんて考えてみるが、症状の一つ、過眠に抗うのは至難の技である。
でも、たしかに入学したばかりの頃は、毎日7時半起きで…それでも今までよりゆっくり寝ていられると喜んで…。あの頃の精神的な健康はとても良かった。
やっぱり、生活習慣を見直すべきか…。
でも、日を跨ぐ前に寝るのって難しい…。
いやいや、やってみなくちゃ始まらない。今日の目標は12時前の就寝だ。でもって、私がいつも早寝早起きに挫折する理由は、早く寝たところで早起きできないからである。
今日の睡眠不足分を足して…9時に起きよう。一般的には遅いのかもしれないが、私の中では9時起きは早い。
自分が必要としている睡眠時間は、どうやら7時間半である…というのは、割と最近になって気づいた。
いつも周りの子たちがもっともっと短い睡眠時間を口にするのを、信じられない気持ちで聞いている。
7時間半確保するというのは、意外と難しい。
この時期になると、7時間半で睡眠を切り上げるのが難しくなってくるけれど。
たっぷり寝るだけ寝て、昼前に起きて、でもって講義中寝て…いや、どんだけ寝るのよ自分。
普段は、というと、微妙に7時間半に足りない。
だいたい何処かで睡眠時間の足りない日が生まれて、その日の睡眠不足を引きずる。
一週間単位とかで見ると、だいたい足りてない。
しかし、負債が勝手に変えてくれるわけでもないので、突然眠気に襲われて、昼寝じゃ済まされないくらい長々と眠る。
人によって適切な睡眠時間は違う。日中眠くならず元気に活動できる睡眠時間が適切である。とかなんとか、よく聞く。
だが、だったら私に適切な睡眠時間など存在しない。
日中は眠いものだし、一日中眠いことは多々あるし、元気に活動しているのは年に半分くらいじゃなかろうか。
朝食が上までのぼってきて気持ち悪い感じ、懐かしい。
だいたい早起きして外に出るとこうなる。高校時代なんて、毎日これと戦っていた。
朝は、あまり好きになれない。
希望の朝なんて言葉を鼻で笑う人間だ。